La Puerta by México Kanko | メキシコ民芸&ハンドクラフト

2021/11/19 19:59


チアパス州サン・クリストバル・デ・ラス・カサスの町からさらに車で1時間の村、サン・アンドレス・ララインサール。幾何学模様が美しい手織物に出会いにこの村を訪ねました。

織物は主に村の女性によって織られています。といっても村に行ったら織っている光景がみられるかというと、そういうわけでもなくて。職人さんたちは工房を持っているのではなく、家で家事などの合間に作業をすることが多いので、あまり織っている様子を目にすることはないかもしれません。とはいえやはり職人さんには会いたい。ということで現地の方に案内していただいたのが村の中心に入るちょっと手前くらいにあるParador Artesanal。民芸品の道の駅といった感じでしょうか。何名かの職人さんがブースを持っていて、お願いしたら織っている様子も見せてもらうことができます(みなさんとても働き者で、ちょっと手が空くとお願いしなくても織り始めていますけど)。もちろん購入も。

↑ Parador Artesanalの入口

この村の伝統的な手織物は腰機(こしばた)というシンプルな織り機を使って織られます。腰機では経糸(たていと)をセットした2本の棒の1本を柱と固定、もう1本を腰のベルトと固定して、引っ張り具合を腰で調節しながら織っていきます。織物の原始的な道具なので、原始機とも呼ばれるそうです。織りの道具としてはとってもシンプルなのですが、引っ張り具合を体で調整するので誤差が出やすく、一定に織るには職人さんの技量が問われます。

↑ 腰機(こしばた)

そして、織物の手法としては縫取織(ぬいとりおり)という手法が使われているそうです。織物は通常経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させて織っていきますが、縫取織の場合、模様の必要な部分だけにさらに緯糸をプラスして織っていきます。模様部分だけに糸をプラスするので織物自体の厚みが抑えられ、模様部分がすこし浮き上がっているように見えるのが特徴。

↑ 縫取織(ぬいとりおり)

この手法を使って織られるマヤの伝統的な文様にも意味があります。菱形を組み合わせたような模様は宇宙を、菱形から手が生えたような模様はカエル、菱形とそれを囲む三角形の模様は星を表すとか。他にも鳥、木、蝶、猿、洞窟の人などなど、様々な模様があるそうです。

↑ 右が宇宙、真ん中がカエル、右が星

村の中にお店がたくさんあるというわけでもないので、購入だけであればサン・クリストバル・デ・ラス・カサスの街の方が種類が多いと思います。でも織っている様子を見ると、こういう人が織っているんだなぁと思ったりして、買ったものにより愛着が湧くと思いませんか?

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