La Puerta by México Kanko | メキシコ民芸&ハンドクラフト

2021/12/27 17:50


こういう金属のオーナメント、見たことあるでしょうか。
メキシコではこういった薄い板状の金属や、それを加工した民芸品をまるっと「オハラタ(hojalata)」と言います。日本語だとブリキ細工。
銅、真鍮、アルパカ(銅、亜鉛、ニッケルの合金)などの鉄以外の金属素材を細工したものも含めて「ラミーナ(lamina)」と呼ぶこともあります。
鏡のフレーム、オーナメント、ランプシェード、ロウソクの台、小箱、etcetc... 様々なものがオハラタで作られています。
宗教的なイベント(クリスマスなど)をモチーフにしたものや、死者の日になればガイコツモチーフも多く出回ったり。

このオハラタ、メキシコでは1500年代、スペイン人の入植とともにメキシコに入ってきました。
軽くて加工がしやすくて丈夫ということで、もともとは日用品メインに使われていたそうです。日本でもバケツやじょうろになっているのを思い浮かべると納得です。
金・銀・銅などに比べると安価なことから、「貧乏人のシルバー」なんていう風にも呼ばれていたそうですが、「銀の道」とも呼ばれたカミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロに沿ってオハラタの取引だけでなく、職人さんや技術の行来が活発になっていったそうです。
そんなオハラタですが、ピューター(亜鉛・スズ・鉛の合金)、アルミ、プラスチックの出現に伴って、日用品としての利用が下火になっていきます。
現在見られるような民芸品やアートとしてのオハラタが息を吹き返したのは結構最近らしく、1960年代頃だとか。
昔からの技術を受け継ぎながら(実際製作に使う道具は昔からほとんど変わっていないそうです)、カラーリングを取り入れ、カラフルなものが作られるようになっていきました。

↑昔からほとんど変わらない、全工程手しごとのオハラタづくり

現在、民芸品としてのオハラタが作られているメインの場所はオアハカとサン・ミゲル・デ・アジェンデ。
オアハカでは素のままのオハラタに金属の色が透けて見えるアニリン染料で着色した、エナメルのようなつやつやした仕上がりのもの、あるいは無塗装のものがメイン。
それに対してサン・ミゲル・デ・アジェンデではあえて錆びさせてビンテージ加工をしたものや、金属の色が見えないマットな塗料で色を塗り重ねたものが多いです。
※あくまでそういうものが多い、ということで、実際には色々あります。
他にもグアダラハラの近くのトナラやメキシコシティでも多く作られています。

↑オアハカとサン・ミゲル・デ・アジェンデのオハラタのイメージ

安価な材料で作られていた日用品が、暮らしを彩るものに変化していったオハラタ。
廃れそうになっても息を吹き返し、職人さん魂が感じられるメキシコのアルテサニアの一つだと思います。
ぜひ、お気に入りのオハラタを探してみてください。

□□□□□□□□□□

La Puertaでもオハラタ製品、お取り扱い中です。

メキシコシティから届いた扉付きミラーはナチュラルなオハラタ。扉の開け閉めも問題なくて、ちょっと他では見られないようなきちんとした作りの、自慢の品なんです。


サン・ミゲル・デ・アジェンデから届いたオハラタのオーナメントは優しいカラフルさが魅力。ハート好きさんにも小鳥好きさんにも。