La Puerta by México Kanko | メキシコ民芸&ハンドクラフト

2022/01/22 09:00


↑プエブラ市内にある旧サンタロサ修道院のキッチンは床から天井まで総タイル張り。

メキシコシティから車で約2時間の街、プエブラ。
中心部である歴史地区にはスペイン植民地時代に建てられたコロニアルな建物が多く残り、昔の修道院を利用した博物館、たくさんの教会、と見どころも多い街です。
このプエブラの特産品と言えばタラベラ焼の陶器。街を歩いていても、そこかしこの古い建物の壁にタイルが使われていて、焼き物の街であることが感じられます。タラベラ焼を製造する工房もたくさんありますが、今回はそのうちの一つ、タラベラ・デ・ラ・レイナ工房を訪ねました。

タラベラ・デ・ラ・レイナ工房はプエブラ市の中心部から車で20~30分くらい。チョルーラへ向かう幹線道路から少し中に入ったところにあります。陶土を作るところから焼成まで、すべての工程を工房内で行います。

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伝統的なタラベラ焼の製作工程はこのようになっています。
1. 陶土づくり
2. 成型
3. 乾燥
4. 第一焼成(素焼き)
5. 施釉
6. 絵付け
7. 第二焼成(本焼き)



少し細かく見ていくと・・・
1. 陶土づくり 白土と黒土を決まった配合で混ぜ、上澄みの水分を取り除き、さらに重しをして水分を抜き、練って粘土を作ります。原産地呼称制度、メキシコ公式規格の承認を受けるには、プエブラ州内の特定地域の土を使う必要があります。
2. 成型 練り上げた陶土をろくろか石膏型で製品の形にしていきます。
3. 乾燥 形が崩れないように、また、焼いたときに割れてしまわないように十分に乾燥させます。
4. 第一焼成(素焼き) 800~1000℃で6~10時間焼きます。焼きあがりは赤みがかかった色になります。この素焼きの状態の陶器を『jahuete(ハウエテ)』と呼ぶそうです。焼いた破片という意味のアステカの言葉だとか。
5. 施釉 全体に釉薬をかける工程です。畳座(お皿や花瓶などの底の輪の、テーブルなどに接する部分)の釉は落として、地の色が見えるようにするのが正式だそうです。
6. 絵付け 乾いた釉薬の上に筆を使って絵付けをしていきます。メキシコ公式規格では顔料は天然のものでなければならず、使うことのできる色は青、黄色、黒、緑、オレンジ、モーブ(薄く灰色がかった紫)となっています。絵付けは手描きで行いますが、下絵となるラインだけはステンシルを使い、同じ模様のものを作ることができます(でもその後の塗りは職人さんが一つ一つ手で行うので、仕上がりはひとつひとつ異なります)
7. 第二焼成(本焼き) 1000~1150℃で8~10時間かけて焼き上げます。焼きあがると艶のある本来の色が現れます。

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タラベラ・デ・ラ・レイナ工房の創立は1990年。
意外と新しい?と思いきや、その工法は伝統的なタラベラ焼の工法に乗っ取っていて、メキシコ公式規格もパスしている工房です(公式規格に関しては前回のブログをご参照ください)。工法は伝統的ですが、作品は伝統的なデザインだけではなく、デザイナーとコラボレーションしたものなど、新しいタラベラ焼にも挑戦しています。工房から幹線道路を挟んだところにあるギャラリーにはデザイナー作品もたくさん展示されていますので、ぜひ訪れてみてください。大切な方へのおみやげに、自分へのプレゼントに、クオリティの高いタラベラ焼を購入できる工房のひとつです。

↑ギャラリーも素敵です。

今回は工房のオーナーから日本のみなさまへコメントをいただきました。


ちなみにプエブラの中心部にはCasa Reynaというブティックホテルもあって、こちらもおしゃれでおすすめ!
レストランだけの利用も可能です。